スラム奏法というのは、伝統形式からすればアカデミックでも古典的でもありません。
尚、前衛的な響きすらするものです。スラムという意味は、あえて野生であるような響きをもつ言語です。
スラム奏法に適した楽器・ギター選びをするのには、やはり愛する楽器へのこだわりと、丁寧な手入れが必要です。ギターを選ぶ際には、いとおしむことのできる楽器を選びましょう。
スラム奏法とは?
スラム奏法とは、ピックなどを使用せずに、手や道具を使って、たたくように弦を弾く奏法のことです。ドラム調にも聞こえる奏法なので、ドラムの音階が並んでいる、ドラムマシンのキータッチが相当数あるようにも聞こえます。
これは、奏法としてたたくようなフィールですが、実際は音符の打点に忠実であろうとするがために、できる奏法にになります。
音符の打点とは、音符の並びに忠実に音域と音長を編み出す手法であり、音楽理論のことです。つまり、音符ひとつひとつの起点・終点の時間の感覚を脳で読み込み再現しているというのが、ただしい言い方になります。
なので、たたけばいいという演奏法ではありません。
スラム奏法で重要なのは、そのスラム奏法のギター選びとも言えます。スラム奏法に耐えられるくらいの頑丈なハーネス弦が必要になりますが、実際は、強度のあるギター母体が必要です。つまり、多少のハードな演奏にも耐えられるくらいの、ハードシップギターが必要になるのです。そして、たたくうえですから、そのギターの重量も大事です。
たたいた時にボードにあたって、変な音が出るようであれば、スラム奏法には向いていません。ハードシップな奏法にも、ベースとなるギターの保持力が必要なのです。
ですので、ギターを置いてたたくという机上のプレイングもあるかもしれませんが、実際は、身体中にしっかりホールドして、音が割れたり荒れたりしないように細心の注意を払ってする奏法になります。
スラム奏法に適したギター選びのポイント
スラム奏法に適した形
スラム奏法に適した形は、シッティングプレイであるのなら、ひざ元や、腕周りでしっかりギターを抱え込んでホールドできるようにするために、ギターボードの曲線のデザインが重要になります。つまり、ギターの重量を身体で支え、腕から巻き抱えるような感じで、固定しなくてはならないので、ひざの曲線にどのようにフィットするのかが重要な事です。体の機能上、演奏中にもしっかりとホールドを加えているので、疲れるようなギターの形は、あまりよろしくありません。
値段として
値段としては、軽いギターであるなら廉価版や中古があるのかもしれませんが、スラム奏法では、ハードな人体の動きに耐えられるような、ドラムの固定ホルダーが必要になるようなタイプが必要です。つまり、重量感のあるギターと言えば、値段は高いものになります。海外の大柄な人たちが使用するような旧来のギターでは、スタンディングプレーはやりにくいというタイプがあるかもしれません。そのような、古典的な重量物としてのギターが望ましいです。
もちろん、スラム奏法には、アコースティックギター・クラシック・フォークギターは絶対に向いていません。木材が痛みます。
メーカー
メーカーとしては、スタンディングプレイがはやるステージタイプが多く出回るでしょうから、アンティークのものや、プラスティック素材が古すぎるものがいいでしょう。海外の老舗のメーカーや、大柄でないとギターを持ち運べないクラスのものが向いています。プラスティックや中の金属類が重すぎる構造のものは、スラム奏法にむいています。それなりの価格がするでしょう。
おすすめのギター
おすすめのギターとしては、中古ショップで見つける重そうなギターです。中古であるのであれば、多少たたいて演奏しても、別段問題はありません。ギターをたたくときに多少キズになる可能性もありますが、自身で愛着のある傷として認められるくらいの年季ものが向いています。
ギターの表面にこだわるひとには、スラム奏法はむいていません。そして、スラム奏法自体音符の構造力学の要素が強いものになるので、実質学歴派の演奏家に向いている奏法です。音符のひとつひとつから繰り出される音長とターンに、音符が読み込める人でないと、実際の演奏は無理でしょう。
なので、音符の意味や、音調そして、音階に対して鋭い感性を持っている人が、スラム奏法向きであるので、ギターの弦の間のバーや、音質をキープするための精度の高いつまみ調整のできるギターが向いています。
まとめ
スラム奏法のためのギター選びですが、たたくというのは、実際プレイングインストゥルメントに悪影響を及ぼします。ですので、たたくとは言っても、音符に忠実にあるように弾く演奏法であることを忘れないでください。決して楽器をいじめているわけではないのです。そのため、繊細な弾き方のできるひとが、スラム奏法に向いています。